移住のススメ:移住を考え始めてから引越しまで

移住のススメ:移住を考え始めてから引越しまで - 茨城県北の人事部

リモートワークの普及などにより、移住を考えている方や移住した方が増えている昨今。
茨城県北地域に移住した私の周りにも、移住後の暮らしを謳歌している方々が少なくありません。

また、国・地方自治体をはじめ、多くの団体・個人が移住支援を行っています。
私自身も「移住をするためには何をすれば良いの?」と、相談を受けることが多々あります。
初めての移住にワクワクと不安がある方は多いですし、当然のことでしょう。

 

本記事ではワークとライフのうち、『ライフ』にフォーカスして、移住を考え始めてから移住までの過程(一例)をご紹介していきます。

移住までの道のりは、未知に溢れた冒険のようなもの。
楽しみながら進めていきましょう。

 

Contents

最初に行う1番重要なこと

『なぜ移住するのか?』という『移住の目的』をより具体化して、他者に伝えられるようにすることが最重要です。
そして、移住される方の多くは、今住んでいる地域には無い『必要な何か(目的を叶える手段など)』がある地域を移住先に選んでいます。

当たり前と思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも実際に、この目的と手段が曖昧な方が多くいらっしゃいます。

 

例えば、『子育てを自然豊かな環境でしたい』といったケース。
とても素晴らしい想いですが、目的(子育て)も手段(自然豊かな環境で)も具体化する余地に溢れています。

では、どのように具体化していくのか。
自問自答することや誰かに話してみることが効果的です。

自分達が理想としている自然豊かな環境とは、なんだろう?
という質問には、「山と川と海が近くにある」など、それぞれの答えが出てくると思います。
その答えを、さらに掘り下げてみましょう。

 

移住先の探し方

このフェーズは、宝島を目指して大海原を航海するようなもの。
日本には1,741の市区町村があり、単位を町内会レベルまで落とし込むと約30万という膨大な数になります。

とはいえ、現時点では『どんな地域なら自分達の目的が叶うのか』が明確になっている、いわば羅針盤を入手している状態。

自然環境など地理的なところを最重視している方は、Googleマップなどで、かなり絞り込むことができるでしょう。
例えば上記の写真のような方なら、『川の上流』『海も近い』『それなりに人が住んでいる』といった地域が主な候補に上がると思います。

 

一方で、活気のある地域など『人の営み』を最重視している方は、ご自身の目的に応じて地理的な要因で絞りつつ、WEBやSNSなどでの情報収集も必要になるでしょう。

該当しそうな地域を見つけたら、現地に下見に行くことを強くオススメします。

 

下見も大切

想像していたのと何か違った。旅行などでも、そう感じたことはありませんか?

この『何か』は理屈よりも感覚的なところが大きく、個人差も大いにあります。
ご自身がどう感じるかは大切で、実際に現地で体感しないと得られません。

まずは、限りある下見の時間を最大限に活かすため、下準備が必要です。

 

『移住の目的』を叶えるために把握すべきポイントを洗い出し、優先順位をつける。
日頃から買い物しているスーパーの肉や野菜、日用品、移動コスト(電車、バス、ガソリン)など生活に必要なものの価格もメモしておくと、現地のお店を下見した際に、移住前後の支出の変動もイメージしやすいです。

時間に余裕のある方は、できるだけ真夏と真冬の2回は行きましょう。
車で30分ほどの距離でも、地形が変わると気候が大きく変わることは少なくありません。

 

また、このフェーズで最も頼りになるのが、水先案内人となる現地の人達。
下見で得られる情報の濃度が、かなり上がります。

例えばゴミ出しなどのローカルルールや生活圏など、暮らしていないと見えにくいポイントが多数あります。

その際の注意点としては、暮らしていると当たり前な情報ほど、質問しないと得られないこと。
自分の地域の当たり前は、どの地域でも当たり前。そう思ってしまいがちです。
移住後の地域住民とのトラブルは、これが起因しているケースもあります。

『ご自身の暮らしで当たり前になっている最低限必要なこと』を改めて書き出して、現地で質問しながら確認していくと良いでしょう。

 

なお、現地の人達との繋がりは、移住前だけでなく移住後も効いてきます。
どうすれば繋がれるのか。その方法は複数あります。

 

移住前に現地の人達と繋がる方法

(1)ふるさと回帰支援センター
都市と地方の交流・移住・定住を支える非営利のNPO団体。
有楽町(東京)の交通会館にある「ふるさと回帰支援センター」には、全国各地域の相談員が常駐し、さまざまな移住相談(対面・電話・オンライン)に対応されています。

全国各地域の自治体と連携されており、相談員によっては地域の移住者と繋がりがあるため、紹介していただけることがあります。
実際、僕もこれまで現地の人として紹介・相談を受けてきました。
『移住の目的』をより具体化して、他者に伝えられる状態になるために活用することもオススメです。

 

(2)県や市町村(役場)の移住担当課
直接連絡することで繋がれます。(ふるさと回帰支援センター経由で繋がることも可能)
移住に関する支援や助成金などの詳細な情報を得られることはもちろん、市町村の職員さんは地域の情報に詳しいのでより頼りになるでしょう。

また、市町村によってはお試しで移住ができる施設があるので、利用されることで生活感を把握したり、地域の人達と繋がるきっかけになります。
(茨城県内では、日立市・常陸太田市・那珂市・城里町・笠間市・行方市の6市町)

 

(3)移住イベントに参加
全国的に見ると、現地・オンライン含め、沢山のイベントが開催されています。
移住者がゲストとして登壇されるケースもあり、参加することで繋がることができるでしょう。

また、イベント内容にもよりますが、『移住候補地の情報を入手』『質問して特に知りたいことも知れる』『市町村の職員と繋がれる』『ゲスト移住者の人となりが分かった上で交流できる』などお得感が満載です。

 

(4)その他
SNSや移住系のブロガーにメッセージ、現地で声をかける、移住者が運営しているお店に行くなど。
マナー、配慮、コミュ力、行動力などが必要ですが、効果的です。

東京で知らない人に話しかけたら不審者扱いされますが、実体験として、地方だと受け入れてくれる人が多いです。
とはいえ、ちゃんと自己紹介や話かけた目的を伝えて相手を安心させてくださいね。

なお、お店の場合は、商品や料理などがご自身の好みと合っているほど話が盛り上がります。

 

家の探し方

ここまできたら、もう大詰めです。
やっと宝島を発見できましたね!
これまで航海してきた自分を褒めてあげましょう。

このフェーズは、宝箱探し。
住居は、市営や県営の住宅に入居するといった選択肢(収入などの要件あり)もありますが、本記事では、賃貸と売買物件について紹介していきます。

 

まず全体的な流れとしてオススメなのは、『移住の目的』を鑑みて、物件(家や立地など)に求める条件を整理すること。
理想や妥協できる範囲を言語化できた方が良いです。

そして、よほど良い条件の売買物件でない限り、まずは賃貸物件から始めること。
その理由は多岐にわたります。

では、賃貸(アパートや一軒家)と売買物件(空き家や空き地)それぞれについて、もう少し詳しくみていきましょう。

 

賃貸物件

都市部に比較して、一般的にどの地方も安いです。
『常陸太田市 アパート 相場』などでWEB検索すると、情報がたくさん出てきます。

一軒家の場合は、相場がない地域も少なくありません。
私がこれまで出会った一軒家に限ると、5千円〜8万円台と幅広く、3〜5万円台が多いです。

 

なお、移住する方の多くは、アパートよりも一軒家を好む傾向があります。
一方で、残念ながら現時点ではそれほど多くの一軒家がなく、私の地域では需要過多の状況です。

市場に一軒家が出るまで待つか、まずはアパートに住むか。
その2択であれば後者をオススメしています。
その理由は大まかに3つ。

(1)生活感や土地勘を掴み、暮らしイメージの最適化ができること。
それによって『どんな物件が最適なのか』や『譲れない条件や妥協できる範囲』がより具体的になっていき、下記(2)の協力者も募りやすくなります。

(2)条件の良い物件の情報が入手できる可能性が増えること。
WEBに掲載されない物件情報もあり、その主な情報入手先は知人からの紹介。
地域住民との繋がりに比例して、条件の良い物件が入手できる可能性が増えていきます。

(3)生活コストが下がる可能性があること。
都市部と比べ、地方は家賃が安いです。
例えば、家賃が月に3万円(年に36万円)安くなり、部屋の大きさは広くなった。といったケースもあり得ます。
(各々の状況によっては、変わらない場合や高くなる場合もあるので、事前の確認が必要です)

アパートの場合はWEB検索で。一軒家の場合はWEB検索に加え、地域との繋がりをつくっていくと情報を入手しやすいでしょう。

 

売買物件

『500万円以下』『古民家』といったキーワードは、狙っている人がかなり多いです。
中には、物件情報を毎日探している人もいます。
そんな競争相手には、移住を意向している人だけなく、地域に在住の人、収益用の物件を探している人も含まれます。

物件を探し始めると、どのWEBサイトにも掲載されている物件情報があることに気づくでしょう。
こちらは、主にレインズ(不動産事業者のみが活用できるシステム)に登録されている物件です。

 

一方で、地域の不動産屋さんしか持っていない独自の情報もあるので、こちらもチェック(WEB検索や訪問)することをオススメします。
※賃貸の一軒家探しにも有効です。

自治体などが運営している空き家バンクの利用もオススメです。
物件情報の入手だけでなく、自治体によっては助成金を活用できるケースもあります。

 

また、個人間の取引を中心としたプラットフォームも存在します。
(例)空き家ゲートウェイ、家いちば、0円物件

知人からの紹介も含め、個人間の取引はコスト的なメリットがありますが、デメリットもあるので注意が必要です。
(例)契約、瑕疵、登記、税金、市街化調整区域など知識が必要

 

なお、2024年7月1日から仲介報酬の特例規定が拡充されました。
不動産事業者の仲介を受ける場合は、以前よりも手数料が多少上がるでしょう。
その反面、低価格帯の物件が市場に出る可能性が増加したことで、より良い選択ができるチャンスも増えました。

賃貸も売買も、一軒家は全てが一点物。
タイミングも重要ですが、移住までのゴールは目前です。
これまで行ってきたことを活かし、チャンスを掴むために、あと少し頑張っていきましょう。

 

引越し

家を見つけられた方は、本当にここまでお疲れ様でした。
いよいよ最後のフェーズ、引越しなどについてお伝えしていきます。

引越し費用は、事業者や時期によって幅があります。
時期は3〜4月が繁忙期で、料金が暴騰するのでご注意ください。

私が見積を依頼した時は、80万円。通常時期の8倍ほどの料金でした。
手間をかけても出来る限りコストを下げたい方に向けて、3つの事例をご紹介します。

(1)時期をずらす
5月〜2月が通常期と、一般的に言われています。

(2)安い事業者を見つける
規模の小さな事業者は料金が安いこともあるので、複数社に相見積もりをお願いし、交渉もしましょう。
理由としては、多重の下請け構造が多い業界といったことが考えられます。
※料金だけでなく保証などのチェックもお忘れなく。

(3)自分で荷物を運ぶ
私は、トラックをレンタルし、片道2時間の距離を2往復しました。
朝から晩まで動いていたのでクタクタでしたが、コストは激減。
定かではないですが、ガソリン代や高速料金を含めて5万円以下だったと記憶しています。

 

また、引越しが完了した後は、ご近所への挨拶もした方が良いでしょう。
一軒家の場合は、まず町内会長を訪ねると『挨拶の範囲』や『手土産』などの情報が得られます。
私の場合は、16軒のお宅にタオル(1つ150円ほど)を持参して挨拶に伺いました。

なお、市区町村の役場に『転出届、転入届』の提出など、手続きも必要です。
役場によっては、期間などが異なる場合もあるので、電話などで事前に確認しましょう。

国民健康保険の方、学生の方は、その手続きも別途必要なのでご注意ください。
水道・電気・ガスなどの解除や新規契約もお忘れなく。

これで移住が完了です。やり遂げましたね。
これから素晴らしい移住ライフを送っていきましょう!

 

まとめ

移住を考え始めてから引越しまでの流れをご紹介しました。
一移住者として、茨城県北地域での暮らしの素晴らしさを心から実感しています。

本記事が、移住を考えている皆様にとってお役に立てていましたら幸いです。
皆様にとって最適な地域に出会い、目的を叶えていかれることができますように。

 

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