【地域の仕事のひと】コーヒーを通じて 人と人がつながるコミュニティを ~外部人材活用インタビュー~

【地域の仕事のひと】コーヒーを通じて 人と人がつながるコミュニティを ~外部人材活用インタビュー~ - 茨城県北の人事部

 

「地域の仕事のひと」
地域ではどんな人が、どんな挑戦をしているんだろう?

そんなテーマで今回は、地域で外部人材の活用を進める
「株式会社ただいま 代表取締役 和田昂憲さん。(以後、『(株)ただいま』および『和田さん』と表記)」にお話を伺いました。

人口の少ない地域であるほど
1人1人の仕事が、想いが、相手の喜びや助けに直結する。

知ること、行動に起こすことで、
これまで培われた経験を活かせる機会が地域には沢山ある。

人口減少が続く地域で、どのように外部の人材を活用しているのか。

地域ならではの「仕事とひと」のお話です。

 

Contents

会社・事業概要

2018年に茨城県の日立市で創業し、ただいまコーヒーをオープン。
2020年に法人化し、株式会社ただいま 設立。
2020年6月に新規店舗「コーヒースタンドGENAKAN」をオープン。

「ただいまをつくる、お手伝い」をミッションとし、焙煎所やカフェなど店舗運営の他、コーヒー豆の卸先とのパートナー事業、セミナーなどの活動を行っている。

事業内容

「ただいまコーヒーは、うちカフェ専門店兼焙煎所をコンセプトに、お家でコーヒーを楽しんでいただくために、コーヒー豆と楽しみ方を提供しているお店です。産地側の情報が担保された生豆を仕入れて焙煎し、店舗で販売し、通販やお取引のある事業者さまに発送をしています」

 

GENKANは、日立市のランドマークを目指して立ち上がったコーヒースタンド。
こだわりのエスプレッソを使ったドリンクや季節のドリンクを提供されている。

「バリスタとお客様、あるいはお客様同士のコミュニケーションが生まれるような仕掛けを施し、地域住民の縁が繋がったり、誰かの居場所になったら嬉しいなという想いで運営しています。イベントなども含めると年間約2万件のお客様と接点ある、いろんな方々がご来店いただくお店です」

 

事業者様に向けたコーヒー豆の販売や開業支援をするパートナー事業は、ここ数年特に力をいれており、様々な業態のお店の立ち上げにも約40件ほど関与されている。

「お取引のある事業者様とは、一緒に事業を進化していけるような、そんなお付き合いが出来たらという想いから、卸という言葉を使わずにパートナーという言葉を使ってやっています。複数のパートナー事業者さまが集まり、補助金の勉強会をしたり、中には組織のことや少し深刻な相談をされる事業者さまもいらっしゃいます。」

「事業運営って、楽しいこともしんどいこともたくさんあると思います。パートナーの皆様が、なにか困った時に最初に相談いただけるような存在になれるよう日々努力をしてます」

 

加えて、学校や企業などでセミナーも主催されており、累積の参加者は3,500人(2024年時点)を超えている。

「セミナーの内容は、コーヒーをきっかけにさまざまな学びや体験ができるプログラムを用意しています。短時間で楽しめる入門セミナーから、本格的な企業研修まで。お客様の目的にあわせて企画しています」

 

『ただいま』に込められた想い

生まれた環境に関係なく、ひとりでも多くの人が、『思い、思われる』ことの力強さを感じ、自分の居場所(ただいまといえる場所や頼れる人)を見つけて、安心して立っていける社会の一役になることを目指し、2018年に創業された。

「そういう理想の社会がビジョンにあって、自分たちの才能を使いながら何に貢献をしていこうかって立った時に『ただいま』っていうコンセプトが生まれました。その手段として国際商材としてのコーヒーやコーヒーの文化とかカフェという居場所を使ってまず貢献してる自負がありますね」

 

 

土地の相続や女子高生の恋の悩みなど、店舗では様々な相談を受けるという。
常連さんとの関係が濃く、お客様の中には、誰にも相談できないことを吐露される方もいらっしゃるとのこと。

「そのお客様にとって、我々が少しは大切な存在になれているのかもしれないと感じる瞬間があり嬉しくなります。これからも、誰にも頼らずに困っている人たちが、我々を少しでも頼っていただける店舗で在り続けたいと考えています。」

 

そういった想いは、コーヒー豆の生産者や(株)ただいまのメンバーにも向けられている。

「コーヒー豆は国際的な商材です。そのため、フェアトレードや貧富の格差といった視点で語られることが多いですが、実際に農園を訪れると、コーヒーの栽培が収入の90%を占め、それが途絶えれば生活が成り立たなくなる農家も少なくありません」

 

和田さんは、農家の栽培努力が正当に評価されるよう、高品質なコーヒー豆の購買量を増やすとともに、現地の農家やその家族がより良い環境で暮らせるよう、持続可能な方法を模索している。

「経済的な支援だけでなく、農家さんの家族もより幸福度の高い暮らしができる社会をつくる。そんな国際商材としてのコーヒーの可能性と、新しいカフェの在り方を思い描いたことが、僕の起業の原点です」

 

事業に関わる人達への想い

(株)ただいまでは、和田さんを含め10名のスタッフが働いている。

年齢や暮らしの環境はさまざまで、本業を持ちながら関わる人、介護をしながら働く人、通勤距離が長いため店舗運営とリモートワークを併用して働く人、子育てを最優先にしながら自分で働き方をコントロールしている人など、多様なメンバーが集まっている。
個性と才能にあふれるメンバーに支えられ、日々助けられているとのこと。

「創業当初は、すべての業務において自分が矢面に立ち、できるようにしていかなければなりませんでした。しかし今では、メンバーそれぞれが強みを発揮し、自分には到底かなわない部分もたくさんあります。メンバーたちの才能には驚きと感謝の気持ちしかありません」

 

 

「常々、メンバーが会社の進化のために自分の時間を使うほど、その人自身の幸福度も高まる可能性がある、そんな働く環境を目指したいと考えています。
仕事を通じて自分の成長に気づいたり、会社とのご縁がきっかけでプライベートがより充実したり。単に働く場としてだけでなく、人生をより豊かにする場として会社が存在できたらと思います」

和田さんの話を伺っていて、(株)ただいまは、働くスタッフにとっても大切な居場所になっているように思える。

 

現在は、より多くの方の『ただいまをつくる、お手伝い』をするため、一緒に事業を拡大していただける方も求めているそう。

「ただいまコーヒーは店舗でもあり、製造業なので、仕入れて製造して販売することが基本になります。製造量が増えるほど在庫管理や仕入れの計画、販売計画みたいなところの知見が必要になってくるなって感じていて。僕自身も勉強しますけれども、製造業の知見を持った人と協働できるといいなっていうのがあります」

「それと今、パートナー事業に力を入れています。僕ともう一人のメンバーしかリソースをさけていないので、法人営業や仕組み作りを一緒にやっていただける方々がいてくれるとスピードが上がるかなって感じています」

 

 

経験やスキル以外の面では、どういう方がフィットするのだろうか。

「その人の大切にしている価値観と我々が大切にしている価値観が重なり合うような人というのが、ずっと変わらずにある採用の基準です。それと、会社のフェーズやタイミングとかもあるので、そこに合致した人っていうこの2軸かなと思いますね」

 

関わり方としてフルコミットしていただける人との協働を希望されつつ、副業人材の方との協働なども視野に入れられている。

「常に弊社との関わりしろは発信していきたいし、採用の窓口は拡げ続けていきたいなと思っています」

これまで、複数名の副業人材の方と協働された経験があるとのこと。
どんな方々だったのだろうか。

 

これまでの副業プロジェクト

「最初は大学の同級生なんですけども、ECの立ち上げの時に少し伴走をしていただきました」

当時は副業の黎明期で、マッチングのプラットフォームなどが充実していなかったこともあり、人材の方から直接アプローチが届いたこともある。

「とてもありがたいことに、弊社に関わらせていただきたいと熱心なメッセージをいただいたことも5回ほどあります」

 

一方で、協働に繋がらなかったこともある。

「すごい熱いダイレクトメッセージをいただき、ご一緒できたら面白い人なのかなと思って話を伺っていました。ですが、蓋をあけてみると我々のことは全然調べずということが判明しました。しっかり話を聞いてみると、本当は副業の実績が作りたかっただけと吐露してくれました。まあ、色々ありますよね」

 

和田さんは、想いへの共感とともに実利としてお互いにWin-Winになれることを大切にされている。

「人生の状況って変わっていくじゃないですか。例えば、働き方や働く優先順位とかも変わっていくと思う中で、そこを率直に話し合っていける関係性をもった上で、副業として関わっていただけることが成功のポイントだと考えています。業務だけだったら、お金を払って外注できるサービスは沢山ありますからね」

 

 

これから叶えていきたいこと

「中期計画として、2030年の時の定量・定性目標を掲げています。現在の規模から考えると、果てしなく遠い目標ではあります。たまに、目標とのギャップにげんなりしますが、関わってくださる方々とともに、途中での寄り道も楽しみつつ、経営の旅をしていきたいと考えています」

 

その目標が達成された時、(株)ただいまは、どのようになっているのだろうか。

「我々のミッションである 「ただいまをつくる、お手伝い」 を、コーヒーという商材を通じてサプライチェーン全体でしっかりと実現できている規模感を目指しています。

 

全国には GENKANのような居場所が展開され、より多くのパートナーが加わることで、コーヒーが循環しながら、人と人がつながり、高め合うようなコミュニティが生まれている。そんな未来を描いています。

その結果、地元の人々から本当に誇りに思ってもらえる企業になっていたら、これ以上の喜びはありません。
これを中長期の目標として、一歩ずつ実現に向けて進んでいきます」

 

まとめ

どんな仕事も、その先には誰かの暮らしに繋がっている。
本記事でご紹介した方々だけでなく、この地域には、それぞれの「誰か」に想いを馳せて挑戦している人達がいます。その想いや挑戦に共感し、共に歩みを進める人達がいます。

関わり方も、チームの中から(入社など)or 外から(副業など)、短期間や長期間など、ケースやフェーズによって様々あります。

地域での協働が、皆さんご自身にとって、地域で挑戦している方々にとって、それぞれの想いを叶え合う機会となれば幸いです。

 

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